こんにちは、もしもにスタジオ代表の防災士うめいです。
このサイトでは「防災をデザインする。」をテーマに防災に関するお役立ち情報を発信しております。
今回は「寝室の防災」についての記事です。
寝室の防災対策を強化したいが、なにをすべきかわからない
寝室に置いておくべき防災グッズを知りたい
寝室防災を防災士がわかりやすく解説!
最近、地震も増えており、寝室の防災を見直している方も多いのではないのでしょうか。
今回は、寝室の防災を見直している方や、これから防災を始めたい方、引っ越ししたばかりの方など、寝室防災を考えたい全ての方に向けて、ポイントを解説します。
「どんな対策」を「どんな優先順位」で具体的に何をすべきか解説していきますので、記事を読みながらぜひ、一緒に準備していきましょう!
寝てるときに地震が起こったらどうなるか、一緒に考えて準備するにゃん♪
寝室の防災対策は3ステップで考えよう
まず、寝室の防災対策は3つのステップで考えることをおすすめします。
以下のステップをご覧ください。
ステップ1では「就寝中に即死しない環境づくり」が最優先となります。これは、すぐにでも皆さんに実施していただきたいです。この後の章で詳しく解説していきます。
ステップ2は「暗闇で安全に行動する備え」です。具体的には、寝ている場所から手が届く場所(枕元)に防災グッズを準備する準備です。
ステップ3は「寝室閉じ込め対策」です。寝室から長期間逃げ出すことができなくなった場合の備えとなりますが、かなり”最悪のケース”を想定するので、ご自身の環境や性格に合わせて準備を検討してください。
それでは、ここからより詳しい解説をしていきます!
寝室の防災で最重要なのは「命を守る」対策
寝室の防災での最重要ポイントは「命を守る」ということです。
あたり前だけど、重要なことだにゃん~
寝室の防災と聞くと「枕元に備える防災グッズ」をイメージする方も多いですが、防災グッズが使えるのは生きている人だけです。まずは就寝時に発生する災害から命を守る準備をしていきましょう。
ステップ1「就寝中に即死しない準備」
繰り返しになりますが、寝室の防災を考える上で、一番大切なのはベッドや布団などの寝る場所が”即死しない”安全な環境・状態かどうかです。
1995年に発生した阪神淡路大震災は、朝の5時46分に発生しました。当時の日の出時刻は7時6分ということもあり、周囲は暗く就寝中の人も多かったでしょう。寝ている時の災害は、とっさに命を守る行動をとることができず、危険な場所にいる場合は即死してしまう可能性もあります。
そのため、寝室の防災を考えるときは、まず「即死しない環境づくり」を最優先に、特に頭上や体に倒れてくる重量物がないかを確認しましょう。
寝室の防災で注意したいポイント
上記の寝室イラストには、危険がたくさん存在します。
特に、就寝時に高い場所から落ちてくる固いものや重いものは絶対に避けるようにしましょう。なお、海外インテリアを参考に部屋づくりをされている方は要注意です。地震がほぼ起こらない海外の寝室インテリアをそのまま真似している場合、地震対策が考慮されておらず安全でない場合があります。
また、ベッドではなく床に布団を敷いて寝ている方も注意が必要です。ベッドで寝る時と比較して高低差がある分、強い威力でタンスなどが倒れてきます。
ベッドの上に大きなおしゃれ絵画を飾りたかったけど、地震のことを考えると難しいにゃん…
また、大きな地震でガラスや陶器が割れてしまうと危険物になってしまいます。なるべくガラスや陶器などの割れやすいものは寝室に持ち込まないようにしましょう。さらに、割れ物でなくても、床にモノが散乱してしまえば避難行動に影響が出ます。そういった意味でも、寝室はなるべくシンプルなインテリアが理想です。
そして、寝室で被災した場合、スムーズな逃げ道が確保されているかも大事な要素。
逃げ道となるドアや窓の近くにはタンスや本棚を置かないようにしましょう。最悪の場合、タンスや本棚などが倒れて逃げ道が塞がれてしまうことがあります。避難する通路上にもなるべくシンプルにし、倒れてくるものが無いか必ずチェックしましょう。
さらに、暗闇の中でパニックにならないためにも、できれば停電を検知して自動点灯するライトを設置しておくと良いです。
\ 寝室には停電時に点灯し、懐中電灯にもなるマルチタップがおすすめ /
まとめると、寝室の災害対策として具体的には、以下のようなポイントに気を付けると良いです。
▼気を付けたい寝室の防災、チェックポイント
☑ 寝ている場所(特に頭上)にタンスや本棚、絵画などが落ちたり倒れてこないか
☑ インテリアや照明器具などは、ガラスなどの危険な素材のものではないか
☑ 寝室のモノを少なくしているか
☑ 逃げ道は確保されていてるか
☑ 停電時の自動点灯の照明は設置されているか
寝室防災の要!枕元に置いておきたい防災グッズ
さて、寝室が安全な場所になったら、いよいよ「枕元の防災」に着手しましょう。
もし、夜中に大きな地震が起きた時、同時に停電する可能性が高いです。停電を想定して、暗闇でも安全に家の中を移動できるように準備ができているかがポイントとなります。
ステップ2「暗闇で安全に行動する備え」
突然ですが、下のような状況を想像してみてください。
就寝中、突然の緊急地震速報の音と同時に、激しい揺れ。
一瞬にして目を覚ます。
しかし、目を開けても光は見えず、ただ暗闇。
いつの日か「停電した時のライトはスマホでいいや」と思っていたが、スマホは別の部屋で充電中。
地震で停電したのか、就寝時に少し気になる「エアコンのオレンジランプ」も、今は見えない。
自分がどこを向いているのかさえ分からない。
手探りで掴んだベッドフレームにしがみつくのが精いっぱい。
同時に、リビングからは何かが落ちたり割れる音。
隣の部屋からは「こわい!」「たすけて!」と家族の叫び声。
さて、あなたはこれからどうしますか。
きっと、多くの人は揺れが収まってすぐに、家族や部屋の安全を確かめたいと思うでしょう。
そんなとき、枕元に防災グッズがあれば安全に行動できるようになるのです。
ステップ2では特に地震・停電対策として「暗闇で安全に行動する備え」として、枕元に置いておきたい防災グッズを紹介します。
枕元に備えたい必須の防災グッズ「懐中電灯」
まず、「懐中電灯」は必須のアイテムです。
暗闇の中で被災してしまった場合、何も行動がとれなくなってしまいます。できれば、地震の勢いで飛ばされないように、懐中電灯を壁に固定しておくと安心。
私のおすすめは壁に取り付けるタイプのパナソニックのLED常備灯です。
白くてシンプルだからインテリアを損ねません。いつでも使えるように、乾電池をずっと入れていてもOKな工夫もされており、暗闇でも見えるように蓄光もついています。壁に取り付けるタイプだから、地震で吹っ飛んでいく心配もありません。
枕元から手の届く場所に一台設置しておくと安心です。
\ 枕元近くに設置する常備灯としてベストチョイス! /
もしくは、停電を検知して自動点灯してくれるコンセントタップもおすすめです。ずっとコンセントに挿しておくタイプだから、充電や電池切れを心配する必要がありません。
就寝場所から手の届く範囲にコンセントがある方にはこちらもおすすめです。
\ 停電時に自動点灯し、懐中電灯にもなるマルチタップもおすすめ /
室内を安全に移動するための「防災スリッパ」
さらにもう一つ、必須で用意しておきたいのは「スリッパ」です。
地震が発生した後、家の安全を確認するため家の中を移動したり、避難行動をとることになります。
普段使いしているスリッパをでもよいのですが、割れたガラスや陶器などの危険物の上を歩く可能性もあるので、できれば厚底のスリッパが良いでしょう。
防災専用に設計されたスリッパなどもあるので、こういったモノを備えておくと安心です。ちなみに、私が常備しているのは「オクムラ」の防活スリッパです。
(足のサイズが28cmと大きめの私には、Lサイズでも小さく感じたので、引き続きサイズが合うものを探しています。)
視力が良くない人は必須の「メガネ」
視力が良くない人はメガネの備えが必須となります。明かりがあっても、メガネが無ければ危険の中をさまようことになります。使わなくなったメガネなどをケースに入れて枕元に置いておくようにしましょう。
できれば、防災スリッパと一緒にして巾着などでまとめておくと良いです。
足がよくない方は「杖」を
普段から杖を使っている方は、杖をすぐ手の届く場所に置いておくと良いでしょう。
地震の中で停電してしまうと、ベッドから起き上がって杖がある場所まで歩くことは困難です。
普段は杖を使っていない方でも、足が悪い方はベッドサイドに置いておくと安心です。
他にもあると良い防災グッズ「軍手」「ヘルメット」「ホイッスル」など
ほかにも軍手、ヘルメットやホイッスルは枕元にあるなお良いです。
軍手があれば、ガラスなどの危険物に触れた時に怪我のリスクを下げてくれます。部屋がガラスなどで散らばってしまった時などに、軍手があると安心です。防刃手袋など手を怪我しないものが望ましいです。
また、ヘルメットがあればより安全に室内行動をすることができます。特に、高いところにモノを収納している家庭や、落下物が多い家ではヘルメットがあると安心です。
一方、ホイッスルは家屋倒壊などでベッドごと埋もれてしまった時などに救助を呼ぶために必要です。他にも、大声が出せない状況で助けを呼ぶ時にも有効です。特に、旧耐震の家屋(1980年以前に建てられた建物)で暮らしている場合は、最悪の状況を考えてホイッスルも用意しておくと良いでしょう。
ただし、いずれも枕元に常に置いておくにはかさ張ってしまいます。普段から準備しておくモノとしては懐中電灯とスリッパ、そしてメガネがあれば避難行動ができます。
より安心できる環境を目指すのであれば、軍手やヘルメットなどの+αの防災グッズの採用も検討してみてください。
寝室の防災、最後の仕上げは閉じ込め対策
そして、いよいよ最後の寝室の防災対策となります。
余力がある方は寝室の『閉じ込め対策』も行いましょう。
閉じ込め対策というと、なんだか大げさに聞こえますが、身構える必要はありません。
できる範囲から気楽に備えていただければと思います。
ステップ3「寝室閉じ込め対策」
最後に考えておきたいことは、寝室に閉じ込められてしまった時の対策です。
例えばケースとしては、「地震による家具の倒壊などで寝室から出られなくなってしまった場合」や、「土砂災害などで1階が埋もれてしまい、2階の寝室だけで耐えしのぐ必要がある場合」などを想定してます。
分散備蓄で、寝室でも生き残れる準備を
多くの方が、防災備蓄品などは一か所で管理しているという方が多いでしょう。
防災備蓄品を一か所で管理するのは、モノの管理(賞味期限や所持数のチェック)が容易になるというメリットがある一方で、「保管場所が何らからの理由で入れなくなってしまった場合のリスクが高い」というデメリットもあります。
「1階に防災備蓄品を備えていたが、床上浸水で全てダメになってしまった」という話は、水害時によく聞く話です。
そこで、おすすめなのが「分散備蓄」です。家の複数個所に分散備蓄することで、一気に備蓄品がダメになるリスクを減らしてくれます。
寝室の分散備蓄で、有事に備えよう
とはいえ「備蓄庫がダメになる想定」は、なかなか想像しづらい話ですし、実際に発生するかも不明です。ですから余力のある方から取り組んでいただければと思います。
寝室に分散備蓄する場合は「水」「トイレ」「食料」を数日分、備蓄していただければと思います。
「数日分」と曖昧にしているのは、皆様の寝室の広さや、危機に対する意識の高さ、一軒家かマンションかなどで用意すべき分量が異なるからです。
実際に東日本大震災では、部屋にあった水とお菓子で9日間を生き延びて生還した方もいらっしゃいます。もし、閉じ込められてしまった時、最後は水や食料が命を救うかもしれません。気になる方はこちらもご覧ください。
また、閉じ込め対策を本気で行いたい方は、バールやジャッキなどのアイテムもありますが、こちらについてはあまり一般的でなため今回は省略させていただきます。
寝室の防災についてよくある質問
そのほか、寝室の防災について、よくある質問をまとめました。
随時追加予定ですので、ご質問ある方はSNSでDMをいただければと思います!【 X・インスタ・Youtube 】
フォローも待ってるにゃん♪
赤ちゃんベッドや介護中の方の対策は?
自力で命を守る行動をとることが難しい赤ちゃんや介護が必要な方、高齢者はベッドの周りが安全か(即死しないか)どうかが大変重要です。
少なくとも、大きなもの・重たいものが落ちてこないようにすることが大事です。
また、できれば水害や家屋倒壊でも生存確率が高まる2階以上を寝室にすることをおすすめします。
2段ベッド・ロフトベッドの安全性は?
2段ベッドやロフトベッドは、地震でも転倒しないことを謳う商品も多いですが、可能なら避けるのが無難です。「2段ベッドだったから、本棚が直撃せずに済んだ」という体験談もありますが、そもそも寝室で凶器になるような本棚の設置を前提としていません。
また、2段ベッドはモノによって強度に不安があります。
二段ベッドの強度チェックはいい加減極まりないです。
重さ80kg以上の砂袋を床板の上に置いて30分間放置して耐えるかどうかの検査方法が主流です。これでは瞬間的な衝撃に耐えられるのかどうかが解らず、過去に静止耐荷重が300kgで有っても私のジャンピングアタック!で割れた床板もございます。
引用:マルトク家具(https://www.marutokukagu.com/jishin.php)
さらに、大きな地震では気が動転してしまい、最悪は2段ベッドの上の階から落下する危険もあります。
できるのであれば、2段ベッドやロフトベッドではなく、床に近い場所で寝られる状況づくりをおすすめします。
寝室の防災まとめ
人の寝ている時間が8時間だとすると、一日の1/3はベッドや布団で過ごしていることになります。
そして、寝ている時間は、人間が最も無防備な時間でもあります。
だから、寝室の防災というのは非常に重要なのです。
軽視されがちな寝室の防災ですが、実はとても重要なのです。
皆さんも是非、今回の記事を参考に寝室の防災を見直して、安全で安心な寝室でぐっすり睡眠をとってくださいね。
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