フェーズフリーとは?フェーズフリーの事例や商品例を交えてご紹介

フェーズフリーとは?フェーズフリーの事例や商品例を交えてご紹介

こんにちは、もしもにスタジオの防災士うめいです。
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今回は「フェーズフリー」についての記事です。

この記事はこんな人にオススメ

フェーズフリーについて知りたい

フェーズフリーの事例や商品を知りたい

目次

フェーズフリーとは、「いつも」と「もしも」のフェーズを超える新しい概念

フェーズフリーとは、2014年に社会起業家である佐藤唯行さんが提唱した新しい概念です。
※明確に「防災という単体の価値」とは異なると定義しています。

PhaseFree(フェーズフリー)とは、平常時(日常時)や災害時(非常時)などのフェーズ(社会の概念)に関わらず、適切な生活の質を確保しようとする概念です。この概念は、フェーズフリーの以下の5つの原則に基づいた商品、サービスによって実現されます。

  • フェーズフリーの5原則
  1.  常活性 どのような状況においても利用できること。
  2.  日常性 日常から使えること。日常の感性に合っていること。
  3.  直感性 使い方、使用限界、利用限界が分かりやすいこと。
  4.  触発性 気づき、意識、災害に対するイメージを生むこと。
  5.  普及性 参加でき、広めたりできること。
https://phasefree.or.jp/phasefree.html

定義だけを見ると、堅苦しいイメージもありますが、佐藤唯行さんが関わっているフェーズフリーブックスの中に、フェーズフリーがより分かりやすくなる言葉のヒントがあります。

“いつも”と“もしも”という2つのフェーズをフリーにして、いつでも安心を与えるのが「フェーズフリー」。

https://bk.phasefree.net/book02.html

“防災のための特別なコトやモノ”ではなく、「日常時」も「非常時」も活用できる「フェーズフリー」

https://bk.phasefree.net/book03.html

つまり、「フェーズフリー」とは「日常時」「災害時」などのフェーズを取り払う(フリーにする)概念
そして、その概念(コンセプト)に基づいた製品やサービスが「フェーズフリー」な生活を実現するのです。

「備わっちゃっているから憂いなし。」

「備わっちゃっているから憂いなし。」

フェーズフリー協会代表理事の佐藤さんが出演された『アベマで防災(AbemaTV)』で紹介された言葉です。

「フェーズフリー」って聞いたことあるけど何?という方向けに、とてもわかりやすい解説です。

「備えてないわけじゃないんだけれども、わざわざ備えてない。もう備わっちゃっている。元から備わっちゃっているから、憂いがない。」
「備わっちゃっているから憂いなし。」

フェーズフリーについて解説してる動画

「フェーズフリーでないモノ」の例を理解する

フェーズフリーのコンセプトを理解するためには、フェーズフリーでないものを理解する必要があります。
そこで、「日常でしか使えないもの」と「災害時でしか使えないもの」をそれぞれ見ていきましょう。

日常でしか使えないもの(災害フェーズでは役に立たないもの)

例えば、日常生活では不自由なく使うことができるが、災害時には役に立たなくなってしまうものを例に上げてみましょう。

日常でしか使えないもの

エアコン / テレビ / 照明 / 炊飯器 / 冷蔵庫 / 固定電話 / 洗濯機 etc…

日常フェーズでしか使えないものは、身近で毎日使うようなモノが多いですね。
日常生活で便利に生活している分、「使えなくなると困ってしまう」というモノが多いかと思います。

災害時しか使えないもの(日常フェーズでは役に立たないもの)

逆に、災害時では活躍し、日常生活ではほぼ使わないものを例に上げてみましょう。

災害時しか使えないもの

ヘルメット / 救急笛 / ガラス飛散防止テープ / 消火器 / 簡易トイレ / 手回しラジオ /アルミ毛布 etc…

災害フェーズでしか使えないものについては、「準備する」というハードルが高くなってしまいます。
日常時では購買の優先順位が低く、防災に対しての意識が高くないとなかなか購入できません。
一方、災害時には需要が高騰し多くの人が買い求め品切れなることも度々ニュースになります。

https://mainichi.jp/articles/20180622/k00/00e/040/277000c

そして、上記のような「日常フェーズ」と「災害フェーズ」の垣根を越えてハイブリッドに使えるモノやサービスがフェーズフリーなものであるといえるでしょう。

フェーズフリーなモノ・商品・サービス例

では、フェーズフリーなモノとは一体どういったものなのでしょうか。商品の例一覧を掲載します

  • プリウスPHEV
  • アシックスランウォーク

例を見ていきたいと思います。

事例1:紙コップ メジャーメント

メジャーメントはフェーズフリーな商品のひとつ
https://dcs.phasefree.net/design_case/003/

日常生活の中で、紙コップは飲料を飲むという用途だけに使われます。一方で災害時には粉ミルクや米の計量といったことも必要になります。
そこで、平時は通常の紙コップとして使いつつ、災害時にはメモリのデザインが計量カップにもなるというのがこちらの商品です。オフィス用品通販大手のアスクルが開発しました。
多くのオフィスや家庭に、紙コップが常備されていると思います。このメジャーメントは手軽に導入しやすいフェーズフリー商品でしょう。
こういったフェーズフリーの商品は「日常生活」でも普通に使え、たとえ「災害フェーズ」を強く意識しなくても、災害時にもとても役に立つと考えられます。

事例2:非常用トイレ × 絵画 アートトワレ

非常用トイレ × 絵画 アートトワレはフェーズフリーな商品のひとつ
https://artwalet.com/

こちらの商品は、壁掛けのアートの中に5日分の非常用トイレが入っているという商品です。
絵画の中にトイレを入れるというのはかなり難しかったらしく、シンプルな商品に見えて半年間かけて商品化されたそうです。
通常、非常用のトイレを災害に備えて用意するというのはハードルが高く、購入が後回しになりがちです。防災意識が高くないとなかなかできることでありません。
しかしこういった商品であれば、購入のハードルを下げ、日常生活の中にデザインを取り入れながら簡単に災害に備えることができるためフェーズフリーな商品と言えるでしょう。

もしもにゃん

ちなみに、トイレ5回分というのは、1人用1日分となるため、こちらのアートがひとつあれば安心というわけではなさそうです。詳しくは以下の関連記事からご覧ください。

事例3:強粘着・耐水ポストイット エクストリームノート

強粘着・耐水ポストイット エクストリームノートはフェーズフリーな商品のひとつ
https://dcs.phasefree.net/design_case/004/

こちらはスリーエムジャパンのエクストリームノートというポストイットになります。
日常生活の中でポストイットを使っている方は多くいらっしゃるかと思います。しかし、その多くは、水に濡れてしまうと破れるような素材ではないでしょうか。
こちらのエクストリームノートは耐水性に優れ、さらに強粘着であるため災害時にとても役に立ちます。例えば避難先の場所を書いて自宅のドアに貼り付けたり、触ると崩れるような危険な場所に、目印を書いておくなど災害時の幅広い用途で使うことができます。
もちろん日常生活の中でも、台所や屋外などで使用することができるポストイットなので、日常生活での利用範囲も非常に幅広いです。
日常フェーズや災害フェーズという垣根を意識することなく幅広く使える商品もフェーズフリーなものと言えるでしょう。

事例4:クッション × 寝袋 SONAENO

クッション × 寝袋 SONAENOはフェーズフリーな商品のひとつ
https://mydream.co.jp/commodity/591

こちらはドリームという会社が開発したクッション型多機能寝袋です。普段はクッションとして自宅や車の中で日常使いができますが、災害時には寝袋やブランケットになる商品です。
足部分のファスナーを開けて立てばパーソナルスペースにもなるのが特徴です。
こちらは防災界隈では非常に有名な高荷智也さん(備える.jp・そなえるTVを運営されている方です)の監修のもと作られた商品となります。
防災用に寝袋や簡易組み立てテントを購入するのはちょっと…と思っている方も、SONAENOのような寝袋クッションであれば買っても良いという方も多いのではないでしょうか。
このようにフェーズフリーな商品では、ひとつのモノで、いくつもの役割を担うような商品が多いようです。

事例5:今治市クリーンセンター バリクリーン

今治市クリーンセンター バリクリーン
https://dcs.phasefree.net/design_case/011/

こちらは商品ではなくフェーズフリーなサービスの事例です。
愛媛県にある今治市クリーンセンター バリクリーンは、「安全安心で人と地域と世代をつなぐ今治市クリーンセンター」がコンセプトの地域の憩いの場・防災拠点としての機能を有するごみ処理施設です。
一般的にはゴミ処理場と言うとゴミを処理する施設だけなのですが、今治市クリーンセンター バリクリーンでは複数の機能を併せ持った施設となっています。
平時には地域に開かれた場所として、上記の写真のようにスポーツやイベントができます。さらに災害時には、最大320名の市民が一週間避難するのに十分なスペース・食料・サポート体制を備えています。
単にゴミを処理する施設ということではなく市民のために開かれた複合的な施設ということがよくわかります。こういった施設がもっと世の中に増えれば、避難場所は「学校の体育館だけ」ということではなく、様々な施設が災害時に役割を担う事ができるでしょう。

フェーズフリー認証がなくても、フェーズフリーなもの多くある。

フェーズフリー認証マークは、一般社団法人フェーズフリー協会が認定したものだけでつけられるマークです。
協会の審査に通過したプロダクト・サービスに対して協会に費用を払って認証マークを付けることができます。
ただ、フェーズフリー認証マークがあるものについては協会の審査を通過したお墨付きということでありますが、この認証がないとフェイズフリーな商品でないということではありません。
フェーズフリー認証を取得していなくても、日常時と災害時の両方に使えるものというのが多くあります。

もしもにゃん

皆様も是非、フェーズフリーの考えを取り入れながら身の回りのものを揃えてはいかがでしょうか。

防災士うめい

今回は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました!
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