注意報と警報の違いとは?気象庁の新しい発表で何が変わるのかをわかりやすく解説【新レベル対応】

注意報と警報の違いについて聞かれたとき、皆さんはすぐに答えられるでしょうか。
どちらも災害が迫った場面で耳にする言葉ですが、「何がどう違うのか」「結局どう行動すればいいのか」まで明確に説明できる方は、意外と少ないかもしれません。
そこで、この記事では「注意報と警報の違い」について、できるだけ噛み砕いて解説していきます。

あわせて、2026年(令和8年)5月から運用が始まる、気象庁による新しい防災気象情報についても取り上げ、どのような点が変わるのかをわかりやすく整理します。

制度の話というと難しく感じますが、この記事では「知識として理解する」だけでなく、「自分や家族の行動にどうつなげるか」という視点を大切に執筆しました。

わかりやすいように表組つき解説していますので、ぜひ最後までご覧ください!

この記事はこんな人にオススメ

警戒レベルと注意報・警報の関係を整理したい方

注意報が出たとき、何をすればよいか知りたい方

大雨や台風のとき、行動判断に迷ってしまう方

目次

そもそも「注意報」と「警報」はどう違う?

こんにちは、もしもにスタジオ代表・防災士のうめいです。
「防災をデザインする。」をテーマに防災情報や防災ノウハウを発信しています。

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まず、前提として「注意報・警報・特別警報」は、危険度の“段階”を表す言葉であって、災害そのものを表しているわけではありません

災害や現象の種類(大雨・暴風など)」 × 「危険度の段階(注意報・警報など)

という表現がなされます。記事を読み進めていただくにあたり、以下の表をご覧いただくと整理がつきやすいと思います。

注意報・警報・特別警報・レベル表記の有無一覧(2026年5月~)

▼ 大まかな分類はこちら
※「危険警報」は、2026年5月~運用開始となります。

分類注意報警報危険警報特別警報レベル表記
河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮
暴風・大雪など
雷・霜・濃霧など
▼ 詳細に知りたい方はこちら(折りたたんでいます)
現象注意報警報危険警報特別警報レベル表記
河川氾濫(2026年新設)
大雨
土砂災害(2026年新設)
高潮
暴風
大雪
暴風雪
波浪
濃霧
低温
乾燥
着氷
着雪
なだれ

上記の表を見てわかる通り、すべての現象に「注意報・警報・特別警報」が揃っているわけではありません。例えば、雷のように局地的で短時間の現象については、注意報のみが発表され、警報や特別警報は設けられていません。

また、暴風・大雪・波浪などは、避難よりも「外出抑制・安全確保」が優先となっているため、避難の指標になる「警戒レベル」に直結しない注意報・警報となっています。(ただし、危険度を表現するための「警報」は存在します。)

もしもにゃん

意外と難しいにゃん…!

注意報とは|災害が起こる「おそれ」がある段階

注意報とは、気象状況が悪化し、このまま状況が進めば災害が起こる可能性があるときに発表される情報です。
雨や風が強まり始め、「これから注意が必要な状態に入りますよ」という段階だと考えるとイメージしやすいでしょう。

注意報が出たからといって、すぐに避難しなければならないわけではありません。
むしろこの段階では、最新の気象情報を確認したり、避難場所や避難経路を再確認したりと、これから起こり得る事態に備えることが重要になります。

▼注意報(警戒レベル2相当)が出た時の行動

注意報が発表された場合は、通常時よりも気象情報や自治体からの防災情報に注意し、今後の状況悪化に備えて行動の確認や準備を進める段階です。ハザードマップや避難場所・避難経路を確認し、必要に応じて非常用持ち出し品の準備や、家族との連絡手段を確認しておきましょう。

警報とは|災害が起こる「可能性が高い」段階

警報は注意報よりも一段階深刻な状況で発表されます。
すでに気象条件が厳しくなっており、実際に災害が発生する可能性が高まっている状態です。

警報が出ている場合、地域や自分の置かれている状況によっては、避難を具体的に検討する必要があります。
特に、浸水や土砂災害のリスクがある場所にいる場合や、避難に時間がかかる人がいる家庭では、早めの判断が求められます。

▼警報(警戒レベル3相当)が出た時の行動:

警報が発表された場合は、災害発生の可能性が高まっている状態です。
「高齢者等は避難」を目安とする段階であり、高齢者や乳幼児、障害のある方など、避難に時間がかかる人は、自治体からの避難情報や周囲の状況を踏まえ、早めに避難行動を検討することが重要です。それ以外の人も、いつでも避難できるよう準備を整え、今後の情報に注意しながら行動判断を行いましょう。

危険警報とは|避難判断の直前段階を示す情報

※「危険警報」は、2026年5月~運用開始となります。

危険警報は、警報よりもさらに危険度が高まり、災害の発生が差し迫っている、またはすでに発生している可能性がある状況で発表される防災気象情報です。

危険警報は、気象状況の深刻さを伝えると同時に、自治体が発表する避難指示などと連動し、危険な場所にいる人が避難行動を取ることを判断するための目安となります。
※従来の「警報」は避難判断のタイミングが分かりにくいという課題を受けて、2026年5月に運用開始します。

▼危険警報(警戒レベル4相当)が出た時の行動

危険警報が発表された場合は、災害が切迫した段階に入っている可能性が高いと考えられます。
この段階では、自治体が避難指示を発令することが想定されており、浸水や土砂災害などの危険がある区域にいる人は、危険な場所から離れる行動を取ることが重要です。
ただし、避難情報の発令を待つだけでなく、キキクル(危険度分布)や河川の水位情報、周囲の状況などを確認し、自らの判断で早めに安全な行動を取ることが求められます。

特別警報との違いも知っておこう

注意報・警報とあわせて耳にすることがあるのが「特別警報」です。
特別警報は、数十年に一度程度しか起こらないような、極めて危険な現象が予想される場合に発表されます。

これは、通常の警報よりもさらに深刻な状況であり、「これまで経験したことのないレベルの災害が起こるおそれがある」という強いメッセージです。
注意報や警報とは、位置づけが大きく異なる情報だと理解しておきましょう。

▼特別警報(警戒レベル5相当)が出た時の行動

この段階では、すでに安全な避難が難しい場合もあり、無理に移動することでかえって危険が高まるおそれがあります。周囲の状況をよく確認し、自宅や建物内でより安全な場所に移動するなど、その時点で命を守るために最善と考えられる行動を取ることが重要です。

なぜ「注意報と警報はわかりにくい」と言われてきたのか

注意報と警報について詳しくみてきましたが、注意報と警報はわかりにくいとの声が一部であがっていました。
その理由を見ていきたいと思います。

警戒レベルとの関係が直感的でなかった

注意報や警報が分かりにくいと感じられてきた理由の一つが、「注意報や警報」と「警戒レベル」との関係です。
警戒レベルは、災害時に住民がとるべき行動を5段階で示した指標ですが、これはあくまで行動の目安を示すものです。

一方で、「注意報や警報」は気象状況を伝える情報です。役割が異なるにもかかわらず、両者が同時に使われるため、「今はどのくらい危険なのか」「結局どう動けばいいのか」が直感的に分かりにくい状況が続いていました。

もしもにゃん

一般の人にはわかりにくかったにゃん…

情報が多すぎて判断が難しかった

技術の進歩や災害の激甚化を背景に、気象庁が発表する防災関連の情報は「40種類」を超えてしまい、具体的な避難行動と結びつかないままカオス化してしまいました。

たとえば、大雨警報には(浸水害)と(土砂災害)があったり、河川に関しては氾濫危険情報と洪水警報の2つが存在するなど、一般人にはわかりにくい情報が並んでいました。

これには、「中の人」も相当悩んでいたらしく…今回、2026年開始の新制度を取りまとめた矢守座長は「人生で直面したパズルの中でも一番難解なパズル」とまでコメントしています。

今回の気象庁の発表で何が変わる?

防災気象情報を「警戒レベル」に合わせて整理

こうした課題を受けて、気象庁は防災気象情報の整理を進めました。
2026年5月からは、河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮といった主要な災害を対象に、防災気象情報が警戒レベルに対応する形で5段階に整理されます。

これにより、「この情報はどのくらい危険な段階なのか」が、これまでよりも分かりやすくなることが期待されています。

情報の名前に「レベル数字」が入る

新しい仕組みでは、情報の名称そのものに警戒レベルの数字が含まれるようになります。
たとえば、「レベル2 大雨注意報」「レベル3 大雨警報」「レベル4 大雨危険警報」といった形です。

これにより、名称を見ただけで「今はどの段階なのか」を直感的に把握しやすくなります。

コラム:「レベル数字」は「警戒レベル」とは異なる

細かいですが、気象庁が発表する防災気象情報には、警戒レベルと対応関係が分かるよう「レベル」が付記されますが、これは「警戒レベル」そのものを示すものではありません。
気象庁が自ら出す情報の名称に「警戒レベル(=行動指示の枠組み)」という言葉をそのまま使うことは制度上できません。もし気象庁が、「警戒レベル4 大雨警報」と明記してしまうと、気象庁が避難を指示しているように見え、自治体の判断を飛び越えてしまいます

だから、公式には「警報・注意報の情報名にレベルが付記される」という中立な表現にしているのです。

まとめると、
・「警戒レベル」は、自治体の避難情報や住民の行動を整理するための指標。(内閣府が主導して整備)
・「レベル数字」は、防災気象情報として整理されたもので、危険度のレベルを分かりやすく示すための番号。(気象庁が制定)

上記のように役割が異なる点に注意が必要です。
実際の運用では、住民が行動判断をするうえで「レベル数字」と「警戒レベル」はほぼ同じ意味合いで受け取って差し支えありません。

レベル4相当として「危険警報」が新設

今回の変更で特に注目されているのが、「危険警報」の新設です。
これは警戒レベル4相当の情報で、避難判断の直前段階を明確に示すものです。

いままでは「警報」のみで「避難した方がいいのか迷う」という声が多かった段階が、より分かりやすく示されることになります。

一方で、「危険警報」という新しい警報が加わったことにより、「シンプルでわかりやすい防災気象情報の再構築」だったはずが、余計に複雑化してしまったのでは、という意見もあります。

とくに大雨に関係する情報は似たようなものが多いだけに、思い切って減らした方がよかったのではと思います。大雨が頻発し、情報過多になっている現状では避難すべき状況なのか迷うことも多いです。本当の意味で必要とされる防災気象情報にするために、受け取る側も声を上げるべきと思います。

引用:来夏から新しい警報注意報へ なにが問題なのか


個人的には、制度変更後の「慣れ」の問題もあるかと思います。制度変更前の周知徹底が大事そうですね。

注意報・警報・危険警報が出たときの行動判断の考え

注意報が出たときは、まず最新の情報を継続的に確認しましょう。
天候の変化は早いため、一度確認して終わりではなく、状況がどう推移しているかを見ることが大切です。
あわせて、避難場所や避難経路、家族との連絡手段を確認しておくと安心です。

警報や危険警報が出た場合は、より具体的な判断が求められます。
自分のいる場所が安全かどうか、避難に時間がかかる人がいるか、暗くなる前に行動できるかといった点を冷静に考えましょう。

とくに、近年の災害は変化がはやく、避難指示を待っていたら避難不可能になってしまう状況もあります。「まだ大丈夫だろう」という判断が、被害を大きくしてしまった例は過去の災害でも繰り返されています。

平時にマイタイムラインなどをつくり、はやめの判断を心がけることが、結果的に自分や家族を守ることにつながります。

暴風・大雪などの注意報・警報はどう違う?

注意報や警報の中には、警戒レベル相当情報に直接対応しないものもあります。
暴風や大雪、雷などの注意報・警報がその例です。

これらは警戒レベルと結びつかないからといって、危険度が低いわけではありません。
交通障害や停電、事故など、日常生活に大きな影響を与えるリスクがあります。

こうした情報についても、「生活防災」という視点で受け止め、外出を控える、早めに帰宅するなどの備えを行うことが大切です。

まとめ|注意報・警報・危険警報は「行動を考えるための合図」

注意報や警報は、不安をあおるためのものではありません。
「今、何を考え、何を準備すべきか」を知らせるための合図です。

新しい防災気象情報の仕組みを正しく理解し、落ち着いた判断と行動につなげていきましょう。

防災士うめい

今回は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました!
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