秋雨前線とは?梅雨前線との違いや特徴などをわかりやすく解説!気を付けるべき災害を防災士がご紹介

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今回は「秋雨前線」についての記事です。

この記事はこんな人にオススメ

秋雨前線とは何か知りたい

秋雨前線と梅雨前線の違いを知りたい

秋雨前線による災害などについて知りたい

目次

秋雨前線とは?わかりやすく解説

天気予報などで「秋雨前線」という言葉を聞くと、秋の訪れを感じますね。
ところで、秋雨前線とは一体どのようなものかご存じでしょうか。「聞いたことあるけど詳しく知らない!」という方は多いはず。そこで今回は、秋雨前線の特徴・メカニズム・気を付けるべき災害について、防災士の私がご紹介します。

秋雨前線の読み方

「秋雨」は「あきさめ」や「しゅうう」と読みます。
一方で、秋雨前線の読み方は秋雨(あきさめ)前線と読みます。「しゅうう前線」や「あきあめ前線」ではありませんので注意しましょう。
他にも「秋霖(しゅうりん)前線」と呼称することもあります。こちらは「秋雨前線」と同じ意味です。秋霖とは秋の初めに降りつづく雨のことを指します。季節感を感じる、美しい日本語ですね。

もしもにゃん

静かに降る秋の雨を眺めながらのお昼寝は幸せだにゃん♪

秋雨前線のメカニズム

秋雨前線は9月上旬~10月ごろに日本の南岸沿いに停滞する前線です。この前線は、いわゆる『秋の長雨(あきのながさめ)』をもたらします。いったいなぜ、秋雨前線が発生するのか。まずはそのメカニズムから確認していきましょう。

秋雨前線は停滞前線。そもそも「前線」って何?

そもそも「前線」とは何でしょうか?
「前線」とは性質の異なる空気の境目を指します。具体的には、暖かい空気と冷たい空気の境目が「前線」となります。前線は以下の4つの種類があり、このうち秋雨前線は「停滞前線」に分類されます

  • 停滞前線:北からの寒気と、南からの暖気がぶつかって発生し、あまり動かない。梅雨前線と秋雨前線が停滞前線にあたる。
  • 温暖前線:暖気が寒気の上にはい上がり、寒気を押しやりながら進む。
  • 寒冷前線:寒気が暖気の下に潜り込み、暖気を押し上げて進む。
  • 閉塞前線:寒冷前線が、温暖前線に追いついてできる。

前線では上昇気流がおこり、雲が発生します。季節の変わり目は、北の冷たい空気と、南のあたたかい空気にはさまれ、東西に長い前線ができます。

もしもにゃん

性質の異なる空気がぶつかると前線ができるにゃん~

秋雨前線はどうやってできる?

結論からお伝えすると、秋雨前線は『秋の空気』と『夏の空気』の境目で発生します。
秋になると、北から冷たい空気がやってきます。この『冷たい空気』はいくつかあり、オホーツク海高気圧・シベリア高気圧・移動性高気圧となっています。
対して、南には『温かい空気』である太平洋高気圧が位置します。この『冷たい秋の空気』と『暖かい夏の空気』がぶつかる部分に前線が出来ます
秋になる連れて秋雨前線の位置は、次第に南下します。

秋雨前線と気団の関係は?

気圧に注目して呼称する場合「〇〇高気圧」と表現しますが、気温や湿度などの空気の性質に注目して呼称した場合「〇〇気団」と表現します。秋雨前線に関係する気団は全部で4つあります。

前述の図で記載のとおり、秋雨前線は「夏の空気」「秋の空気」がぶつかる場所で発生します。
「夏の空気」というのは『小笠原気団(太平洋高気圧)』を指します。一方で「秋の空気」は複雑です。
「秋の空気」表現しているものは、具体的に『オホーツク海気団(オホーツク海高気圧)』『シベリア気団(シベリア高気圧)』『揚子江気団(移動性高気圧)』があります。

小笠原気団
日本の南・海側にある気団で、温かく湿った空気を運んできます。
オホーツク海気団
日本の北・海側にある気団で、冷たく湿った空気を運んできます。
シベリア気団
日本の北・陸側にある気団で、冷たく乾燥した空気を運んできます。
揚子江気団(長江気団)
日本の南西・陸側にある気団で、温かく乾燥した空気を運んできます。

もしもにゃん

秋雨前線には色んな気団が関係しているのにゃん~

コラム:消えた揚子江気団?
気象庁は2007年4月に「長江気団」を正式名称としています。一方で、日本の中学教科書では2016年まで「揚子江気団」と表記してしました。
さらに、揚子江気団については、シベリア気団が温暖化したものの一部だとし、独立した気団ではないとされる見方もあります。こういった背景から「揚子江気団」という言葉は使われなくなり、天気予報などでは『移動性高気圧』として表現されています。 

秋雨前線はいつまでつづく?

秋雨前線は例年10月中旬ごろまで発生します。一方、梅雨には「梅雨明け」がありますが秋雨には「秋雨明け」の宣言などはなく、明確な終わりの日などは決まっていません。

秋雨前線の特徴は?

では、秋雨前線にはどのような特徴があるのでしょうか?

もしもにゃん

しとしと優しく降る雨だけじゃないのにゃん?

秋雨前線の特徴
1.台風が近づくことで活発化し、大雨などの災害をもたらす
2.秋雨前線初期のほうが雨量が多く、末期にかけて少なくなる
3.前線よりも北側は朝晩に冷える日が多くなる

台風が近づくことで活発化し、大雨などの災害をもたらす

秋の雨と言ば、しとしと優しく降るイメージがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、近年の地球温暖化の影響なども相まって、秋雨はしばしば激しい雨や雷雨をもたらします。時には線状降水帯などが発生し、大きな被害をもたらすことも。
さらに、台風が近づくタイミングは要注意です。海上にある台風が湿った暖かい空気を送り込むことにより、秋雨前線が活発化し大雨などの災害をもたらします。そういった意味で、台風の上陸が多い季節に発生する秋雨前線は要注意なのです。

秋雨前線初期のほうが雨量が多く、末期にかけて少なくなる

秋雨前線は初期の頃に降水量が多いのも特徴です。
9月上旬ごろの初秋に雨が最も多く降り、10月下旬にかけてだんだんと降水量が減ってきます。これは、初期が弱く末期が強い梅雨前線と真逆の特徴と言えるでしょう。

前線よりも北側は朝晩に冷える日が多くなる

秋雨前線とは何かを図解

秋雨前線よりも北側は、「秋の空気」です。今まで夏の空気に覆われてた地域は、秋雨前線を境に急に冷え込むようになります
「季節の変わり目は風邪をひきやすい」とはよく言ったものですが、前線北側の地域が急に朝晩冷え込むようになるため、無理もありません。だんだんと衣替えの季節になります。本格的な寒い季節の訪れに備え、防災リュックの中身を見直すなど、準備をするようにしましょう。

秋雨前線と梅雨前線の違いは?

また、秋雨前線によく似た梅雨前線との違いも気になりますよね。ここでは秋雨前線と梅雨前線の違いをご紹介いたします。

もしもにゃん

梅雨が終わったと思ったら、すぐに台風シーズンになっちゃうのにゃん…

秋雨前線と梅雨前線の違い
1.秋雨前線は南下し、梅雨前線は北上する
2.西日本は梅雨の時期の降水量が多く、東日本は秋雨の時期の降水量が多い
3.秋雨前線は、はじまりと終わりがはっきりしないことが多い

秋雨前線は南下し、梅雨前線は北上する

秋雨前線は『秋の空気』と『夏の空気』の境目です。秋になると、北から冷たい空気がやってきます。季節が進むに連れて秋雨前線の位置は、次第に南下します。

一方で、梅雨前線は『春の空気』と『夏の空気』の境目です。夏が近づき、大西洋高気圧の精力が強まると、南から夏の空気が上がってきます。夏が近づくにつれて、梅雨前線は南側のあたたかな空気き押されて、次第に北上していきます。

西日本は梅雨の時期の降水量が多く、東日本は秋雨の時期の降水量が多い

梅雨の時期の雨と、秋雨の時期の雨はどちらの雨量が多いのでしょうか?答えは、「地域によって差がある」です。


【西日本地域】
鹿児島・福岡・広島・高知・大阪などの西日本は、圧倒的に梅雨の雨量が多くなります
【近畿~東海地域】
大阪・名古屋・静岡あたりは、ほぼ同じ量の雨が降ります。
【東日本地域】
それに比べて、東京・仙台・札幌は秋雨の時期の方が雨量が多くなります。

秋雨前線は、はじまりと終わりがはっきりしないことが多い

「梅雨入り」という言葉はよく聞きますが「秋雨入り」という言葉はありません
その理由は、秋雨前線の始まりや、終わりがわりはっきりしないことが理由かもしれません。
また秋雨前線の季節は短く、日本全体で見れば梅雨の時期に比べると雨量が少なくなります。

もしもにゃん

梅雨と同じように、長い雨の時期に突中するのに「秋雨入りしました」とは言わないにゃん…

なお、過去には梅雨入り宣言をやり直すといった前例もありますし、停滞前線の予測は難しいようです。

秋雨前線がもたらした、過去の被害「東海豪雨」

過去、秋雨前線がもたらした過去の被害に2000年に発生した「東海豪雨」があります。
特に大都市である名古屋にも大きな水害の被害があり、都市で発生する水害の恐怖を実感させる大きな被害で、今も多くの方の記憶に刻まれています。

10名の犠牲者をだし、100名を超える重軽傷者を出した「東北豪雨」凄い災害があったんだな、と思いをめぐらせるだけなく、過去から学び未来に活かすことが大切ですね。

秋雨前線が近づいたというニュースを見たら、今まで以上に天気や災害に注目してみてはいかがでしょうか。

コラム:秋霖や 雫を軒の 糸車
『秋霖や 雫を軒の 糸車』は石川桂郎が詠んだ句です。この句には秋の季節感や、豊かな自然の情景が表現されています。
しとしとと秋の雨(秋霖)が降る中で、小さな雨粒が屋根の糸車(屋根の上にある物を引き上げるための車軸)に集まり、雫となって滴り落ちる光景が描かれています。秋の静かな風景や雨の音、そして日常の光景に潜む小さな美しさが感じられます。

防災士うめい

今回は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました!
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