こんにちは、もしもにスタジオ代表の防災士うめいです。
このサイトでは「防災をデザインする。」をテーマに防災に関するお役立ち情報を発信しております。
今回は「用意すべき非常用トイレの数と、避難生活でのトイレ問題」についての記事です。
どのくらい非常用トイレを準備したら良いか知りたい
どんな非常用トイレを用意したら良いのか知りたい
なぜ非常用トイレが必要なのか知りたい
非常用の簡易トイレは何日分を準備するのが良い?
なぜ非常用トイレの備蓄が必要なの?
防災備蓄として非常用トイレは必ず備えておくべきアイテムです。
理由は、排泄は生理現象として避けて通ることができないからです。
水を一滴も飲まなければ、人はすぐに命を落としてしまいます。そして、摂取した水分が排せつできないことでも、命に関わります。
震災後に耳にすることがある「災害関連死」。あまり知られていないですが、実はトイレに行けない環境が続くことにより、体調が悪化して亡くなるケースも含まれます。
そのため、防災グッズの必要なものランキング(私の独断ランキングですが)では、2位に「非常用トイレ」がランクインしています。
非常用トイレを正しい数量準備できている人は「4%以下」の希少な方々
そのような重要な防災アイテムでありながら、『災害時などで水道が止まった時のために非常用トイレを準備している』という人は、わずか20%しかいないという調査結果(※1)があります。
さらに、トイレを備えている人のうち「20回分以上」の非常用トイレを備えている人は20%以下となります。
実は20回分でも足りないくらいだにゃん…
計算すると、全体の4%ほどしか適切にトイレを備蓄できていないことになります。
この記事では、非常用トイレの必要量の「根拠」を明確にしたうえで、どのくらい必要かを解説しています。記事を読んでくださっている皆さまには、ぜひ「正しい知識」で「適切な数量」のトイレを備えて欲しいと思います。
結論:「家族の人数×35個」を目安にトイレを準備して!
さて、非常用トイレを準備するときにぶつかる最初の壁。それは、どの程度準備すれば良いのかということです。
結論ですが、「家族の人数×35個」を目安に備蓄をして欲しいと思います。
例えば、4人家族なら140回分のトイレを目安に準備してください。
「そんなにも必要なの!?」
と、驚いた方も多いかもしれませんが、それにはちゃんと理由があります。以下では、その必要な理由を解説していきます。もし、読むのが面倒な場合でもとりあえず「家族の人数×35個」を用意しておけばある程度の状況に対応できます。
家族の人数に合わせたトイレを購入するなら、30回分~200回分の7種類のバリエーションがある「トイレの女神premium」がおすすめにゃん♪
さらに、必要人数に応じて、どのくらいの非常用トイレが必要かの早見表をご用意しました。
200回分 | 150回分 | 120回分 | 100回分 | 80回分 | 50回分 | 30回分 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1人分 | 40日 | 30日 | 24日 | 20日 | 16日 | 10日 | 6日 |
2人分 | 20日 | 15日 | 12日 | 10日 | 8日 | 5日 | 3日 |
3人分 | 13日 | 10日 | 8日 | 6日 | 5日 | 3日 | 2日 |
4人分 | 10日 | 7日 | 6日 | 5日 | 4日 | 2日 | 1日 |
5人分 | 8日 | 6日 | 4日 | 4日 | 3日 | 2日 | 1日 |
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例えば、4人暮らしの場合を見てましょう。
「4人分」の行を見てみてください。◎のついている200回分を買っておけば10日はもちそうです。しかし、50回分だと、2日しかもちませんので×がついています。上記の早見表を参考にしながら、ご自身の環境に合った非常用トイレを選んでみてくださいね!
非常用トイレを何日分準備するかは「具体的な被害想定」が大事
準備のために『具体的な被害』を想定してみよう!
さて、皆さんはどのような災害を想定して、非常用トイレを準備していますか?
台風が来て1日断水するケース、地震で3日断水するケース、富士山が噴火して1ヶ月以上断水するケース…など、様々な考えがあると思います。実は、この想定が曖昧なままだと防災グッズを「どのくらいの量を準備するか」が難しい問題になってしまいます。
『最低3日分』って聞いたけど、3日分で足りるかにゃん?
そこでこのサイトでは、わかりやすいベンチマークとして「南海トラフ巨大地震」級の災害を想定した備えをご紹介しています。ここ数十年の間で起こりうる最悪レベルの災害とも言われていますので、この巨大地震による災害を乗り越えることを目標に、防災の準備を進めると良いでしょう。
南海トラフではどのような被害が想定されているか?
南海トラフでは、国の想定で1週間後も7割が断水し、4割の下水が使えないとされています。そこで、想定すべき災害を以下のように整理しました。
・南海トラフ地震級の巨大災害が起きたことを想定
・在宅避難(自分の家で避難)できる環境であることを想定
・1週間はトイレが使えないことを想定
上記の想定を考えると、防災備蓄用のトイレは一週間分あった方が良いということになります。
非常用トイレは何日分の準備が必要?計算してみよう。
ではここからどのくらいのトイレが必要なのかということを計算していこうと思います。この記事では、以下のようなことを想定して、必要な備蓄用トイレの数を計算します。
・4人家族(夫婦+ひとりでトイレに行ける子供2人)
・トイレは1日5回行くとする(平時は平均6.8回という調査あり)
・上記の条件を想定して1週間分用意する
すると計算式は以下のようになります。
この記事のモデル:4人家族に必要なトイレ
4 人 × 5 回 × 7 日間 = 140 回分のトイレが必要
上記のような家族像を想定した場合、トイレのセットは計算で140セット必要になります。
この計算式を参考にしていただき、あなたの性格や家庭の事情などを考慮した上で準備するのがよいかと思います。
参考:人数別の非常用トイレ早見表(トイレの女神premiumの場合)
冒頭でもご紹介しましたが、どの程度の備えをすればよいかの早見表が便利です。
基本的には、以下の早見表で「〇」以上になるような回数分を目指して準備することをおすすめします。
我が家は4人家族ですが、もちろん200回分以上の非常用トイレを準備しています。
×…全く足りない
△…1週間はもたない
〇…1週間分足りている
◎…10日分足りている
200回分 | 150回分 | 120回分 | 100回分 | 80回分 | 50回分 | 30回分 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1人分 | 40日 | 30日 | 24日 | 20日 | 16日 | 10日 | 6日 |
2人分 | 20日 | 15日 | 12日 | 10日 | 8日 | 5日 | 3日 |
3人分 | 13日 | 10日 | 8日 | 6日 | 5日 | 3日 | 2日 |
4人分 | 10日 | 7日 | 6日 | 5日 | 4日 | 2日 | 1日 |
5人分 | 8日 | 6日 | 4日 | 4日 | 3日 | 2日 | 1日 |
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他のパターンで想定して、自分でしっくり来る数を選ぼう
あまり備蓄品を増やしたくない場合や、そんなに災害が長引くことを想定しない家庭は、半分の3.5日を用意して70セットを用意することになります。
備蓄品を増やしたくない・災害が長引くことを想定していない場合
4 人 × 5 回 × 3.5日間 = 70 回分のトイレが必要
逆にトイレに頻繁に行く人(高齢者や子供)がいる家庭かつ、1週間分ではトイレの数が心もとないという場合は以下のような計算式に調整すると良いです。
トイレに頻繁に行く家族がいる・災害が長引くことを想定している場合
4 人 × 6回 × 10日間 = 240 回分のトイレが必要
同じ「4人家族」でも、状況や考え方について、随分と必要なトイレの数が変わることわかっていただけたかと思います。
どの程度準備するかということは個人の考え方・家族の状況・備品の置き場所など、様々な要因に左右されます。
一概にこの数を準備すれば正解という答えはないのですが、「1日ひとり平均5回のトイレ×1週間分」という数字は、準備すべき非常用トイレの数を考えるにあたり、ベンチマークになるでしょう。
災害避難生活で困ったランキング上位は「トイレ問題」
ここから先は、過去におこった災害で寄せられた声やアンケートから、トイレ問題がどれだけ深刻かをご紹介します。「必要な数量はなんとなく理解できたけど、実際に想像できない」という方は、是非ご覧ください。
以下のように、巨大災害が起こった後のアンケートで必ず上位に入ってくる困ったランキングの上位に入ってくる問題はトイレ問題です。
平成30年7月豪雨のトイレ問題
https://mylet.jp/news/corporate-disaster-prevention/disasters_and_toilets
繰り返される震災の中で、必ず問題にななるのがトイレです。
例えば、263名の死者を出し、日本の広い範囲に深い爪痕を残した「平成30年7月豪雨」ではトイレ問題が深刻になりました。飲み水の問題よりも、トイレの問題が深刻になっていたというアンケート結果は、大変注目すべき結果です。
防災と言うと身近な防災グッズや保存食などに目が行きがちで、トイレの準備をしている人は少ないようです。
とあるアンケート調査では「大地震が発生し、断水により自宅の水洗トイレが使用できなくなった場合、あなたはどうしますか?」という回答に対して、「備蓄している災害トイレを使う」と回答した人はわずか13.7%でした。
ちなみに、一番多かった回答は避難所のトイレを使うが33.9%ですが、巨大災害では避難所のインフラも被害を受けており、避難所のトイレが使えなかった場合は野外で用を足す以外なくなります。
冒頭でもご紹介しましたが、トイレが劣悪な環境だとトイレを我慢する人も多くなります。しかし、排せつを我慢することで毒素が体にたまり、いわゆる「災害関連死」につながってしまう恐れもあるため、大変重要な問題となっております。
安心した環境でトイレが使えるかどうかは、すべて災害が起こる前の準備にかかっています。
だからこそ被災生活に備えて、今から非常用トイレを準備する必要がありそうですね。
人間は災害時のような非常事態では、平常心を保つための心理が働きます。例えば「正常性バイアス」(”いつもと同じ”という思い込み)が代表的です。正常性バイアスがかかっていると、水道が止まっていてもトイレは使えるという思い込んでしまうケースがあるようです。
災害時、正常性バイアスがかかった脳の状態では、パッと見でいつものトイレに見えるかもしれません。しかし、それはトイレではなく上下水道の機能を失った”ただの器”になっている可能性もあります。ただの器に用を足すのではなく、非常用トイレがあれば安心ですよね。災害に備える際は、インフラは止まるものと思って備えましょう。
巨大災害3日後は仮設トイレすら出来ない可能性が高い
巨大災害が起きたとしても、政府や自治体がすぐに仮設トイレを設置してくれるというイメージをしている人もいるかもしれませんが、実際は難しい可能性があります。
事実として東日本大震災のアンケートを見てみると、災害3日以内に必要な仮設トイレが行き渡ったと回答した自体はわずか34%でした。震災後の3日間は、人命救助が最優先となるため、トイレの支援などは後回しにされることになります。
東日本大震災の時のトイレ問題
https://www.nakagawa-mfg.co.jp/info/5139/
4~7日に仮設トイレ設置できたと回答した人を含めても、全体の約半数に止まっています。南海トラフのような巨大地震が起きた場合同じか、更に深刻な事態になることが想定されます。
仮設トイレは2週間使えないと想定することも視野に
上記のアンケートを見ると、2週間経過しても約3割の自治体は仮設トイレの設置ができていません。
冒頭の「家族の人数×35個」は1週間トイレが使えない場合に備えた数です。災害が長引くリスクを重く見るのであれば、2週間分の非常用トイレ(家族の人数×70個)を用意するのもありかと考えます。
個人でできる準備できることは意外と少ない
実は、個人でできるトイレの準備での非常に少ないです。
一般的に売られている非常用のトイレで個人で買えるものは以下の三つが代表的なものです。
・携帯型
・組み立て型
・便器設置型
基本的には個人で手に入れられる非常用トイレは上記の3種類だけです。
非常用という観点では、携帯型では機能が足りないため、組み立て方か便器設置型を準備しましょう。
トイレ選びで悩んだら、日本製で安心の「トイレの女神premium」がおすすめにゃん♪詳細は下の「あわせて読みたい」で紹介しているにゃん~
非常用トイレの凝固剤だけは手に入る?
非常用トイレを準備していて「凝固剤だけは売っていないの?」と思ったことはありませんか?
実は、凝固剤だけも販売があります。
凝固剤さえあれば、『非常用トイレセット』が無くても、家にある45Lゴミ袋と組み合わせることで非常用トイレが完成します。
ちなみに、ホームセンターの防災コーナー大好きな私ですが、トイレの凝固剤の単体販売は滅多に見かけることがありません。実店舗での販売は非常に少ないので、ECショップでの購入がおすすめです。
※私は「カインズ」で見つけたことがあります。
興味がある方は是非、凝固剤単品でも購入してみてくださいね。
※1) 参照:一般社団法人 日本トイレ協会 https://j-toilet.com/2023/09/02/saigai/