防災士試験対策|第1章・第4講「火山災害」を徹底解説
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火山災害|防災士教本 第1章・第4講
第1章・第4講は「火山災害」です。
日本は世界有数の火山大国ですが、実際にどのくらいの山が噴火のリスクを持ち、観測対象となっているかご存知でしょうか。
身近なようで意外と知らない火山の知識を、しっかり整理していきましょう!
日本の活火山
活火山の定義
活火山とは「おおむね過去1万年以内に噴火した火山、および現在活発な噴気活動のある火山」と定義されています。
「活火山」という名前だけ聞くとすぐに噴火しそうなイメージがありますが、定義上は「過去1万年以内」という非常に長いスパンの活動履歴で判断されています。
今は静かに見えても油断できない山だから、活火山として指定されているわけです。
日本の活火山の数
日本の活火山は北海道から九州にかけて広く分布しており、海底火山を含めて111火山が認定されています。

日本の国土面積は世界の陸地面積の約0.25%に過ぎませんが、世界の活火山の約7〜10%が日本に集中しています。まさに火山大国です。
なお、すべての噴火履歴が把握されているわけではなく、今後の調査によって活火山の数は増える可能性があります。
実際、2011年に雄阿寒岳(おあかんだけ)、2017年に男体山(なんたいさん)が活火山に追加されています。
常時観測火山
気象庁によって常時監視されている火山を「常時観測火山」と呼び、2026年4月時点では51火山が対象となっています。

噴火の仕組み
マグマとマグマ溜まり
マグマとは、地下の高温高圧環境でマントルの一部が溶けて生成された、どろどろに溶けた岩石のことです。
海洋プレートが大陸プレートの下へ沈み込む過程でこうした環境が生まれ、マグマが生成されると考えられています。

マグマは周囲の岩石よりも密度が小さいため、浮力によってゆっくりと上昇していきます。
その際、地表まで一気に到達するのではなく、地下5〜20km程度の深さでいったん停滞します。このマグマが集まった場所を「マグマ溜まり」といいます。
噴火のエネルギー源
マグマには水分や二酸化炭素などのガス成分が多く含まれています。
地下深部では高い圧力によってガスがマグマに溶け込んでいますが、マグマが上昇するにつれて圧力が下がると、ガスは徐々に気体として分離し体積を増していきます。
この「ガスの膨張」が噴火のエネルギー源となっています。
噴火の3つのタイプ

| タイプ | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水蒸気噴火 | 地下水が加熱されて水蒸気となり噴き出す | マグマ片を含まない火山灰が特徴 |
| マグマ水蒸気噴火 | 上昇したマグマと水が直接触れることで起こる | マグマ片を含む火山灰が発生 |
| マグマ噴火 | マグマそのものが地表まで到達して噴き出す | 最もエネルギーが大きい |
噴火の前兆現象
噴火に先立って、火山周辺では以下のような前兆現象が観測されることがあります。
- 火山性地震の発生
- 地殻変動(地表の隆起・傾斜)
- 磁力の低下
- 地下水の温度上昇
- 火山ガス成分の変化
ただし、前兆現象が観測されても必ず噴火に至るとは限らず、逆に明瞭な前兆なく噴火が発生する場合もあります。
特に前兆現象が乏しいのが「水蒸気噴火」です。
2014年に発生した御嶽山の噴火はまさに水蒸気噴火でした。
登山者が多く集まる山頂付近に噴石が降り注ぎ、死者・行方不明者63名という戦後最悪の火山災害となりました。
活火山は常に噴火の可能性があることを前提に、日頃からの情報収集と備えが重要です。
噴火による災害の種類
火砕物による災害
火砕物とは、噴火によって生成されたマグマ由来のかけらのことで、直径によって呼び名が変わります。

| 名称 | 直径 |
|---|---|
| 火山灰 | 2mm未満 |
| 火山礫(かざんれき) | 2〜64mm |
| 火山岩塊 | 64mm以上 |
直径10cm程度の噴石でも、噴火時には10km以上先に落下することがあります。
また、火山灰は広範囲に影響を及ぼし、停電・断水・交通障害など現代社会のインフラに多大な被害を与えます。
溶岩流による災害
溶岩流とは、噴火によって地表に噴き出したマグマが高温のまま流れ下る現象です。
流れ出るマグマは900℃〜1,200℃にも達し、建物・森林・道路などを焼き尽くします。
一方で、流下速度は一般的に人の歩く速さ程度とされており、早期避難が被害軽減の鍵となります。
火砕流による災害
火砕流は「超高速・超高温」の2点が最大の特徴です。

火砕流とは、高温の火山ガス・火山灰・岩石のかけらなどが混ざり合い、山腹や谷沿いを高速で流れ下る現象です。
内部温度は数百℃以上、時速は100kmを超えることもあります。
短時間で広範囲を襲い通過するすべてを焼き尽くすため、人命や家屋に甚大な被害をもたらします。
1991年の雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)の噴火では、火砕流により43名が犠牲となりました。
火砕流は発生後の避難が極めて困難であるため、噴火警報に従って事前に避難することが非常に重要です。
山体崩壊と津波
山体崩壊とは、火山の一部や山体そのものが大規模に崩れ落ちる現象です。
マグマの押し入りや地震・噴火活動によって山体が不安定になることで発生します。

代表例が1792年の「島原大変肥後迷惑」です。
眉山の噴火活動に伴う山体崩壊で大量の土砂が海に流れ込み津波が発生。
海を挟んだ対岸の熊本にまで被害が及び、死者約1万5千人とも言われる日本史上最大級の火山災害となりました。
山体崩壊には津波リスクも伴うことを覚えておきましょう。
火山ガスによる災害
火山ガスとは、噴火や火山活動に伴って放出される有害な気体で、二酸化硫黄・硫化水素・二酸化炭素などが含まれます。

高濃度のガスを吸い込むと呼吸困難や意識障害を引き起こし、命に関わることもあります。
また、無色・無臭のものもあり、気付きにくい点も危険です。
2000年の三宅島の噴火では大量の火山ガスが島を覆い、全島民約3,800人が島外へ避難、避難生活は約4年半に及びました。
火山防災対策と関連法律
噴火警戒レベル
噴火警戒レベルは、火山活動の状況と想定される影響範囲を踏まえて設定され、住民や関係機関への行動指針として用いられます。

レベルは1から5まであり、レベルが上がるほど危険度が高くなります。
活火山法(活火山対策特別措置法)
2014年の御嶽山噴火を教訓として、2015年に「活火山対策特別措置法」(活火山法)が成立しました。
活火山法の最大のポイントは、「火山防災協議会」の設置義務です。

火山防災協議会とは、国・自治体・気象台・警察・消防・専門家などが連携して設置される組織で、火山災害警戒地域内の都道府県・市町村に設置が義務付けられています。
避難計画の作成・警戒区域の設定・情報共有の仕組みづくりを行い、噴火時に迅速かつ的確な対応ができるようにすることが目的です。
また、2023年の活火山法改正により、噴火予知の精度向上を目的とした「火山調査研究推進本部」が設置されています。
富士山の噴火リスク
富士山は1707年の宝永大噴火以降、約300年以上にわたって大きな噴火は記録されていません。
しかし近年、南海トラフ巨大地震との連動による噴火の可能性も指摘されており、影響は富士山周辺にとどまりません。
特に深刻視されているのが首都圏への大規模な降灰です。
- 鉄道の停止
- 数センチの積灰で車両走行が困難に
- 停電・上下水道の機能停止・物流網の崩壊が長期間続くと予測
富士山はいつ噴火してもおかしくない活火山であることを正しく理解し、噴火ハザードマップの確認や備蓄の見直しなど、今できる備えを進めておきましょう。




