防災士試験対策|第3章・第12講「災害医療とこころのケア」を徹底解説
この記事は、YouTube「もしもにスタジオ」の防災士試験対策の解説動画を文字起こし&記事用にテキスト編集したものです。
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災害医療とこころのケア|防災士教本 第3章・第12講
第3章・第12講は「災害医療とこころのケア」です。
大規模災害が発生したときに現場でどのような医療の仕組みが動くのか、そして身体だけでなく「こころ」の傷についても学んでいきます。
災害医療とは
災害医療とは、大規模な災害や事故の際に、平時とは異なる状況下で行われる医療活動のことです。
平時の医療との最大の違いは、「限られた医療資源(人・物・時間)で、1人でも多くの命を救う」ことを最優先とする点です。
通常の医療では重症者を優先して全力で救うことができますが、災害時は同時に多数の傷病者が発生するため、通常とは違った対応がとられることがあります。
災害医療の「3つのT」
災害医療では「3つのT」という考え方が重要です。

| 用語 | 内容 |
|---|---|
| トリアージ(Triage) | 緊急度・重症度に基づいて治療・搬送の優先順位を決める |
| トリートメント(Treatment) | 負傷者に適切な治療を行う |
| トランスポーテーション(Transportation) | 適切な医療機関へ搬送する |
この3つがセットで機能することで、災害時の医療活動が成り立ちます。
トリアージ
トリアージとは、限られた医療資源で1人でも多くの命を救うため、緊急度や重症度に基づいて治療・搬送の優先順位を選別・決定する仕組みです。
赤・黄・緑・黒の4色タグを使って傷病者の状態を判断します。

| タグの色 | 分類 | 内容 |
|---|---|---|
| 🔴 赤 | 最優先治療群(第1順位) | 生命を救うために直ちに処置が必要 |
| 🟡 黄 | 待機的治療群(第2順位) | 多少治療が遅れても生命に危険がない |
| 🟢 緑 | 保留群(第3順位) | 軽微な傷病で、専門医の治療をほとんど必要としない |
| ⚫ 黒 | 死亡群(第4順位) | 既に死亡、または蘇生の可能性がない |

覚え方のヒント:信号機の色とリンクさせると覚えやすいです。
トリアージは限られた資源で最大多数を救うための医療倫理に基づく仕組みです。
災害時に注意が必要な病態
クラッシュシンドローム(挫滅症候群)
クラッシュシンドロームとは、地震などで建物の下敷きになり長時間強い圧迫を受けることで発生する症候群です。

以下の2つの問題が生じます。
- 圧迫中に血流が遮断され、筋肉が損傷・壊死する
- 救出後に血流が再開することで、壊れた筋肉からカリウムなどの有毒物質が全身に流れ込み、心停止や急性腎不全を引き起こす
長時間強い圧迫を受けていた人を、むやみに救出すると容体が急変するリスクがある
四肢の圧迫が数時間経過した人の救助は専門的な処置が必要なため、救急隊や医師にゆだねる必要があります。
救助到着までは、カリウムを含まない水を与え、温め、元気づけながら待つことが推奨されています。
エコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢を続けることで血流が滞り、足の静脈に血栓(血のかたまり)ができる病気です。
この血栓が血管をめぐって肺に詰まることで、突然死に至ることもあります。

車中泊・避難所での固定姿勢・水分不足・寒さなどの要因が重なり、発症リスクが高まります。
予防策:
- こまめな水分補給
- 足の運動
- ゆったりとした服装
- 睡眠時に足を上げる
こころのケア

トラウマ・ASD・PTSD
トラウマとは、強い衝撃によって心身に刻まれた反応の記憶を指します(出来事そのものではありません)。
| 用語 | 日本語 | 発症時期 | 主な症状 |
|---|---|---|---|
| ASD | 急性ストレス障害 | 体験直後〜1カ月以内 | ぼんやりする・感情不安定・現実感が薄れる |
| PTSD | 心的外傷後ストレス障害 | 1カ月以上継続 | フラッシュバック・過度な警戒・不眠 |
ASDとPTSDの違いは「発症からの時間」が目安です。
職業的救援者のストレス
救急隊員・医療従事者・警察官などの職業的救援者も「隠れた被災者」になりやすいとされています。
職業的救援者は以下の3つのストレスにさらされます。

- 危機的ストレス:悲惨な光景の目撃や生命の危機を伴う体験によるストレス
- 累積的ストレス:不快で危険な環境で終わりの見えない長時間にさらされるストレス
- 基礎的ストレス:長時間勤務・睡眠不足・人間関係の悪化によるストレス
支援する側の人も、支援が必要な存在であるということを覚えておきましょう。
一般市民にできるこころのケア
こころのケアは専門家だけが担うものではありません。
レベル1からレベル4までの多層的なアプローチが提唱されており、一般市民はレベル2(家族・地域社会を通じたケア)に関わる可能性があります。

こころのケアを必要とする相手へのサポートとして重要なのは以下の点です。
- 相手の話をじっくり聞く
- 気長に待つ
- 「元気出して!」などの安易な励ましを避ける
- 安心して感情を出せる環境をつくる
また、支援者自身のセルフケアも重要です。
誰かに話す・無理をしない・自身の状態を確認するなど、自分自身のストレスを和らげることも大切にしましょう。




