防災士試験対策|第1章・第3講「土砂災害」を徹底解説
この記事は、YouTube「もしもにスタジオ」の防災士試験対策の解説動画を文字起こし&記事用にテキスト編集したものです。
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土砂災害|防災士教本 第1章・第3講
第1章・第3講は「土砂災害」です。
山の多い日本に住む私たちにとって、土砂災害は非常に身近な災害テーマです。
しっかり学んでいきましょう!
日本における土砂災害の現状

日本は国土の約7割が山地で構成されており、地質が脆弱で断層や構造線が多く存在しています。
これに加えて、梅雨前線や台風などによる豪雨が頻発することから、土砂災害が発生しやすい環境にあります。
近年の統計では、全国で毎年平均1,400件を超える土砂災害が発生しています。
なお、単純に土砂が移動しただけのものは「土砂移動現象」と呼び、人命や建物・道路などに被害をもたらしたものが「土砂災害」です。

特に大規模な豪雨や地震に伴って被害が集中する傾向があります。
- 平成30年7月豪雨:土砂災害発生件数が2,500件を超え、甚大な人的被害が生じた
- 2018年の北海道胆振東部地震:明治以降の地震で最大規模となる13.4km²にわたる斜面が崩壊(東京ディズニーランド約26個分)

土砂災害の3つの種類
土砂災害は「土石流」「がけ崩れ」「地すべり」の3つに分類されます。
それぞれの違いと特徴は試験でも頻出です。しっかり覚えておきましょう。

前兆現象についての注意点
各土砂災害には前兆現象がありますが、実際に前兆現象が起こることはまれです。
「前兆現象が起きてから避難する」という考え方は非常に危険です。
あくまでも危険を判断するひとつの兆候として押さえておきましょう。
土石流
土石流とは、大量の土砂と水が一体となって下流へ流れ下る現象のことです。
流れの速度が非常に速く破壊力も大きいため、家屋や道路を一瞬で飲み込むことがあります。
主に山間部の谷沿いで発生しやすいという特徴があります。
土石流の前兆現象
- 普段聞き慣れない大きな音や異音がする
- 土や木の葉が腐ったような異臭がする
- 急に川が濁る、流木が混ざる
- 雨が降り続いているのに川の水位が下がる
最後の「雨が降っているのに川の水位が下がる」は一見意外ですが、土や木が上流で一時的に川をせき止めているサインです。
いずれ決壊して一気に土石流となって流れ出すため、この状況は特に危険で、すぐに避難が必要です。
がけ崩れ
がけ崩れとは、急な斜面(傾斜度30度以上)の土や岩が突然崩れ落ちる現象のことです。
前触れが少なく一気に崩れるのが特徴で、斜面のすぐ下にある住宅に大きな被害を与えやすいです。
比較的狭い範囲で起こりますが、人的被害が出やすい点が特徴です。
がけ崩れの前兆現象
- 斜面にひび割れができたり、水が湧き出る
- がけから小石がパラパラと落ちる
- 樹木の根が切れる音がする
地すべり
地すべりとは、斜面の広い範囲が、地下水や地質の影響でゆっくり・または断続的に滑り動く現象のことです。
移動速度は土石流やがけ崩れより遅いことが多いですが、広範囲に・長期間続くのが特徴です。
通常は1日に0.01mm〜10mm程度の移動ですが、雨などの影響で1日に数メートル移動することもあります。
広範囲の地面ごと移動するため、家屋・道路・農地・インフラに深刻な被害をもたらします。
地すべりの前兆現象
- 地面にひび割れや段差ができる
- 湧き水が増える
- 家屋に亀裂が入り、樹木や電柱が傾く
- 地鳴りや山鳴りがする
なお、地すべりしやすい地域は「地すべり防止区域」として指定されており、地下水の排出や地面への杭打ちなどの対策が行われています。ご自身の自宅近くにも指定区域があるかもしれません。

3種類の土砂災害の比較
| 種類 | 発生のしくみ | 速度 | 範囲 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 土石流 | 土砂と水が一体となって流下 | 速い | 谷沿い | 破壊力が大きい |
| がけ崩れ | 急斜面の土・岩が突然崩落 | 速い | 狭い | 人的被害が出やすい |
| 地すべり | 広範囲の斜面がゆっくり移動 | 遅い | 広い | 長期間続く |

その他の土砂災害
深層崩壊
深層崩壊とは、山の地下深くの岩盤や土層まで一体となって大規模に崩れ落ちる現象です。
通常の土砂崩れとは桁違いの規模になることがあり、発生の予測が非常に難しく、一度起きると壊滅的な被害をもたらします。

2009年には台風が原因で台湾で大規模な深層崩壊が発生し、400人以上の村民と村そのものが土砂に埋まる大災害となりました。
河道閉塞
河道閉塞とは、崩れた土砂・岩・流木などが川をせき止め、水の流れをふさいでしまう現象のことです。
川がせき止められると上流に水がたまり天然ダムとなることがあります。
この天然ダムが決壊すると、大規模な土石流や洪水を引き起こす危険があります。
土砂災害が起きた後も、河道閉塞による二次災害のリスクが続く点に注意が必要です。

流木災害
豪雨などで流れ出た大量の木が橋や建物に衝突・堆積し、川をせき止めたり構造物を破壊したりする災害です。
2017年に大規模な流木災害が発生しており、現在は砂防施設や流木捕捉工などの整備が進められています。

土砂災害への対策
土砂災害への対策は「ハード対策」と「ソフト対策」の2種類があります。
ハード対策
物理的な施設整備による対策です。
- 砂防堰堤(さぼうえんてい):土石流や大量の土砂・流木を食い止めたり少しずつ流したりすることで、下流への被害を抑える施設
- 抑止工:杭やアンカーで地すべりの動きを抑える対策

ただし、ハード対策だけでは完全に土砂災害を防ぐことはできません。
ソフト対策
ハザードマップの配布や教育・啓発活動などがソフト対策にあたります。
土砂災害防止法
現在の土砂災害対策の柱となっているのが、2000年に制定された「土砂災害防止法」です。
1999年の平成11年6月豪雨で広島県が集中豪雨に見舞われ24名が犠牲となった災害の反省を活かして制定されました。
この法律では以下が定められています。
- 土砂災害のリスクが高い土地を「警戒区域」として指定する
- 土砂災害ハザードマップを作成・周知することを市町村に義務付ける
土砂災害警戒区域の2種類
① 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
土砂災害が発生した場合に住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域です。
主に避難体制の整備が求められます。
② 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
イエローゾーンよりも危険度が高く、建築物に損壊が生じて住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。
一部の開発行為が許可制となり、建築物の構造規制なども行われます。

土砂災害警戒区域・特別警戒区域は、激甚化する大雨や基礎調査の進展により、今も対象エリアが増加傾向にあります。
自宅・職場・訪問先がこのゾーンに含まれていないか、ハザードマップで確認しておくことが大切です。




