【防災士解説】水の備蓄目安は?何日分必要か、1日3Lで足りるかの疑問を解決!

こんにちは、もしもにスタジオの防災士うめいです。
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防災士うめい@もしもにスタジオXInstagtramYoutube
・防災士試験に全問正解で合格。YoutubeやSNS等メディアで情報発信中
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・埼玉県在住/子育て中の30代

今回は「水の備蓄目安」についての記事です。

この記事はこんな人にオススメ

どのくらい水を備蓄するかの目安がわからずに迷っている方

自分なりに理由を理解し、納得して水の備蓄量を決めたい方

推奨されている水の量で足りるか不安な方

目次

水の備蓄はどのくらいの量が目安?

みなさん、こんにちは!防災士うめいと申します。

この記事を読んでいるということは、
「備蓄をはじめたいけれど、どのくらいの水の備蓄量が目安なの?」
「1日3Lの水が必要と聞いたけれど、そんなに必要なの?」
「水の備蓄は場所を取るから、3日分だけ用意しようと思うけど足りるかな?」

と疑問を持たれているかと思います。

今回は、そういった疑問を解決すべく、本当に必要な水の備蓄量はどのくらい?
ということを、しっかりと理由つきで防災士の私が解説していきたいと思います。

もしもにゃん

結論を急いでいる人は「1人1箱(2L×6本入り)は最低でも備える」とだけ覚えるにゃ~!つまり4人家族なら4箱♪

1人分で下のような備蓄水が、ひと箱あればとりあえず最低レベルはOK!

水の備蓄目安を決める計算式

まず、自分に必要な水の備蓄の量を決める計算式を見ていきましょう。
計算は以下の通りです。

「必要な人数」×「1日あたり必要な水の量(1人分)」×「備える期間」
「必要な備蓄量」

上記の式に、必要な情報を当てはめた数字が、あなたが必要とする水の備蓄量の目安となります。
例えば、4人家族の場合、3日分を備えようとすると36Lの水が必要となります。(ひとりあたり1日3L必要とした場合)

でも、待ってください。
この計算式に当てはめる数字がよくわからない・自信がないから、こうやって記事を見ているのですよね。
大丈夫です、しっかり解説するので記事を読んだ後には皆さんが備蓄すべき水の必要量がわかりますよ!

※備蓄量の目安の結論を先に知りたい方は「自分に必要な水の備蓄量を計算しよう」にジャンプ!

「1日3L」の水が必要ってホント?その根拠は?

「1日3Lの水を目安に備蓄しましょう」
というメッセージを見たことがある方は多いのではないでしょうか。

そして、こう思った方も多いはずです。
「毎日3Lも水飲んでないんだけど・・・」
「身体洗ったり洗濯するのに3Lじゃ足りなくない?」


まずはその疑問にお答えすると、生活用水などを除いた「身体に取り入れる水として必要な量が1人1日3L」ということになります。水やお茶をあまり飲まない人でも、食事から水分を摂取しています。

身体から出ていく水分量 < 摂取すべき水分量

例えば、体重60Kgの人が1日で尿や皮膚からの蒸発で排出されている水分量は約2.5L
夏場だとさらに汗をかいて身体から出ていく水分が多くなり、1日3L~4Lは身体から抜けていく計算となるそうです。なので、最低でも3Lは毎日水分補給をする必要があります。

引用:災害用の備蓄飲料水が「1人1日3リットル」の根拠・理由(Takahashi Suzuki(防災 看護師))
https://youtu.be/U7N0AiGtJv0?si=p052bJRJhKyNLtzF

結論として、洗濯やお風呂、歯磨きなどを含まない水の利用量として、『1人あたり1日3Lの飲料水としての水』が必要となるのです。

数日なら水を飲まなくても平気?

数日なら飲料水が少なくても我慢できると思っていませんか?それは大間違いです。
まずは、高齢者や小さい子供は水分が少ないと、すぐに脱水症状になってしいます。

他にも、以下のような多くの問題が発生します。「数日は我慢しよう」と思わずに絶対に水分が確保できるようにしておいてください。

もしもにゃん

体調が悪くなっても、災害時は病院になかなか行けないにゃん…

水分が少ないと起こる症状
  • 脱水症状: 口の渇き、尿量の減少、体のだるさ、頭痛
  • 皮膚の乾燥: 皮膚の弾力性の低下、ひび割れ、かゆみ
  • 頭痛: 脳の水分不足による血管収縮によるもの
  • 集中力の低下: 脳の機能が低下し、思考や判断力が鈍る
  • 疲労感: 水分不足による筋肉の疲労や代謝の低下

備えるべき期間は?『3日 or 1週間 or それ以上?』

あなたは、どの程度の被害や状況を想定して水を備えていますか?

水を備えるべき期間の目安を考える前に…。
「あなたは、どの程度の被害や状況を想定して水を備えていますか?」
と聞かれたらどう答えますか?

ベンチマークとして「南海トラフ地震」や「首都直下地震」などの巨大地震を意識して防災対策・備蓄をすすめている方は多いのではないでしょうか?

なのでここからは、そういった巨大地震に対応できるための備えをしたい方向けに解説していきます。

南海トラフ地震では42日の断水想定も。

備えるべき期間を考える上で重要なヒントとなるのが、「過去の災害」「これからの災害の被害状況です。

以下の表は「阪神淡路大震災」「東日本大震災」「南海トラフ地震(想定)」の被害状況です。

【参考】水道が9割程度復旧するまでの日数

スクロールできます
南海トラフ地震
(想定)
東日本大震災
(2011.3.11)
阪神淡路大震災
(1995.1.17)
水道422437
電気・水道・ガスが9割程度復旧するまでの日数

この表を見て、みなさんは水の備蓄目安はどのくらいだと思いますか?
国や団体が推奨する「最低3日分」の水の備蓄で足りそうですか?

なんだか「3日分」では足りなそうですよね。

少なくとも、過去2回の大災害では水道が9割復旧するまでに1ヶ月かかりました。そして、30年以内に高確率で発生するとされている南海トラフ巨大地震では、水道の9割復旧まで42日かかるということが予想されています。

あなたは1ヶ月以上、水道が止まった自宅で過ごす準備ができていますか?

もしもにゃん

巨大地震などの災害が起こると、1ヶ月は断水が続くことを覚悟するにゃ~

水の備蓄は3日分で足りる?答えは・・・

なんとなく3日分では足りなそうだな…ということがおわかり頂けたと思います。
一方で、なぜ国や団体から備蓄する目安の期間について「最低3日」という指標が出てくるのでしょうか。

なぜ「最低3日」なの?

最低3日の備蓄の根拠ですが、「人命救助のタイムリミット」が72時間(=3日間)であることに由来します。このタイムリミットは『黄金の72時間』とも呼ばれています。災害が起きてからは3日間はほぼ全てのリソースが「人命救助」をするために使われ、救援物資などは後回しになります。
ですから、この発災直後の3日間というのは、生きている人は自力で生き延びなければいけない3日間なのです。

もしもにゃん

「最低3日」と言っているのは、政府は人命救助最優先で、生きている人のケアは後回しするということを明言しているにゃん…
だから「最低3日」は自分で準備しなきゃいけないにゃん…


そして、上記の「最低3日」という目安は、4日後以降に生き残った人への支援が開始されることを前提にしています。

しかし、南海トラフ巨大地震などでは被害が甚大且つ広範囲になるため、飲料水を含む救援物資は3日では手元に届かないことが予想されます

もしもにゃん

南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの巨大災害に備えた備蓄をしたいのであれば「最低3日」では全然足りないにゃん…

南海トラフなどの巨大災害を想定するなら「最低1週間分」を備蓄の目安に

実際、2013年に発表された「南海トラフ巨大地震対策について」という政府資料では、発災直後は行政からの支援が行き届かないから1週間分以上の水の備えが必要ということが明記されています。

引用:南海トラフ巨大地震対策について (最終報告)平成25年5月 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ
www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20130528_honbun.pdf

なので、もし「水の備えは3日分で足りますか?」と質問された場合…
私なら「足りないと思います」と答えます。
少なくとも私の周りの家族や友人には「最低1週間分の水は備蓄して欲しい」ということをお伝えしてます。

公助による水の救援が始まっても以下のような方は水を運ぶのが困難な場合があります。
・応急給水場所が遠い方
・マンションの高層階などにお住いの方
・高齢の方・乳幼児をお連れの方
その他、水を運ぶのが難しい場合はさらに倍の2週間分を目安に水を備蓄すると安心でしょう。
その場合、ローリングストックするは大変なので、日本で手に入る唯一の15年保存できる水などで長期備蓄するのがおすすめです。


一方で、1ヶ月近くを目安に備蓄するとなると、保管場所の問題が出てきます。
特に、水の備蓄は体積が大きく、かなり場所をとります。
1週間以上の備蓄をしたい場合は保管場所や備蓄にかけられる予算との相談になってきそうですね。

結論として、「水の備蓄は、目安として1週間分は用意しましょう」ということになります。

自分に必要な水の備蓄量を計算しよう

1日に必要な水の量…3L(ひとりあたり)
備蓄する期間の目安…1週間分以上を目安に

ということを基準にして、自分に必要な水の備蓄量を計算していきましょう。
今回は上記の条件を前提に、2Lペットボトルの箱で購入したときの箱単位での早見表を作りました。

必要箱数早見表:必要人数×備蓄日数※2Lペットボトル×6本ケースの場合

スーパーやホームセンターで良く見かける箱単位「2L×6本」のペットボトルの箱がどのくらい必要かの早見表です。自宅の収納場所があるか、段ボールのサイズも意識しながら、自分の家にどのくらい置くことができるかをシミュレーションしてみましょう。

「2L×6本」段ボールのサイズ例:32cm×19cm×33cm

スクロールできます
3日分
(最低限)
1週間分
(★オススメ!)
2週間分
(さらに安心)
1ヶ月分
ひとり分1箱2箱4箱8箱
2人分2箱4箱7箱15箱
3人分3箱6箱11箱23箱
4人分3箱7箱14箱30箱
5人分4箱9箱18箱38箱
2L×6本入りの箱で備蓄水を用意する際の必要箱数

必要箱数早見表:必要人数×備蓄日数※2Lペットボトル×9本ケースの場合

たまに見かける9本入りの箱単位、「2L×9本」のペットボトルの箱がどのくらい必要かの早見表です。
9本入りの段ボールは約20キロの重さとなります。個人的には数量の管理をしやすい6本ケースを基準に揃えていくことをお薦めします。

良品物語
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「2L×9本」段ボールのサイズ例:32cm×27cm×33cm

スクロールできます
3日分
(最低限)
1週間分
(★オススメ!)
2週間分
(さらに安心)
1ヶ月分
ひとり分1箱2箱3箱5箱
2人分2箱3箱5箱10箱
3人分2箱4箱7箱15箱
4人分2箱5箱10箱20箱
5人分3箱6箱12箱25箱
2L×9本入りの箱で備蓄水を用意する際の必要箱数

必要備蓄水早見表

もしもにゃん

リットル表記での早見表も掲載するにゃん♪
活用する時はサイトのこのリンクも貼って欲しいにゃん~

スクロールできます
1日分
(足りない)
3日分
(最低限)
1週間分
(★オススメ!)
2週間分
(さらに安心)
1ヶ月分
ひとり分3L9L21L42L90L
2人分6L18L42L84L180L
3人分9L27L63L126L270L
4人分12L36L84L168L360L
5人分15L45L105L210L450L
1人1日3Lを想定した場合の水の必要量(リットル表記)

水の備蓄についての疑問を解決

その他、水の備蓄に関するよくある疑問について、解説致します!

浄水器を持っていれば備蓄水は少なくても良い?

結論として、最終手段として浄水器を持っておくのはありですが、持っているから備蓄水の量を減らしても良いということはありません。

浄水器があれば、飲料に適していないような川などの水も浄水して飲み水に変えることができます。
しかし、災害時は洪水や津波などの危険が伴います。また、浄水器を使い慣れていないと、使い方がわからなかったり、フィルターの種類によっては除外できない有毒成分などもあります。

なので、浄水器を持っているから備蓄水を減らしても良い、という判断にはなりませんがお守りにはなると思います。
私が持っているポータブル浄水器は「SAWYER」というものです。

ペットボトル・2Lと500mlではどっちで備蓄する?

結論、備蓄するならどちらでも良いですが、役割やメリットを理解して備蓄分けするのがおすすめです。

500mlはで直接口をつけて飲むのに向いています。
2Lは500mlよりも場所をとらないため大量備蓄に向いています。

500mlと2L、どっちもメリット・デメリットがあるため、バランスよく備蓄すると良いでしょう。

もしもにゃん

2Lペットボトルの方が場所効率がよいので、特にこだわりがないのであれば2Lでの備蓄がおすすめです。

おすすめは、基本は「2L」の長期保存水をペットボトルで備蓄しておき、ローリングストック(普段使いしながら消費する分)として500mlの水を備蓄するとバランスが良です。

\ 2Lペットボトルor500mlペットボトルの詳細解説 /

水はベランダに備蓄しても大丈夫?

結論としては、ベランダでの備蓄が避けた方がよいです。
高温が続いたり、氷点下になるような過酷な状況が続くとペットボトルが変形してしまいます。

理想としては15℃-25℃の常温で、段ボールに入れたまま立てた状態で保管するのがベストです。

引用:奥長良川名水㈱
https://okunagaragawa.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/5年保存水の大切なお知らせ.pdf

水道水をペットボトルに詰め替えて保存してはいけない?

一度開封したペットボトルには雑菌などが入ってしまうため、詰め替えた水の長期備蓄はできません
各自治体の水道局などの情報によると、冬場で7日・夏場で3日ほど保存できるようです。

断水時の救済措置には期待できる?

巨大地震などで断水してしまった際に期待したいのが「応急給水場所」「給水車」「避難所の備蓄」「救援物資」です。断水してしまっても、水さえ手に入れば備蓄水に頼らずに済みそうです。
断水時に備蓄水以外でどんな方法で、飲料水が確保できるかも確認しておきましょう。

応急給水場所

まず、災害などで断水になってしまった際、自分の住んでいる場所の近くに給水場所があるのかを必ず確認しておきましょう。

もしもにゃん

応急給水場所が自宅から遠い人は、気持ち多めに水を備蓄するにゃん♪

被災時に給水拠点となる場所は
お住まいの自治体のウェブサイト
防災マップ
などで公表されていることがあります。
備蓄水の計画と一緒に一度確認してみましょう。

なお、給水場所では、後ろに並ぶ人や重さの運べる重さのことも考慮して、1度に確保できる水は40Lほどが上限と思ってよいでしょう。また、夏場は給水してきた水は3日ほどしか日持ちしないのにも注意が必要です。

給水車

断水後に水道局から派遣される給水車。全国に1200台あるとされていますが、巨大災害が起こった際はフル稼働しても足りない台数です。
給水車は断水範囲が広い場合、給水車は広範囲に移動しながら水を供給します。そのため、水が欲しいタイミングで家の近くに給水車が来るとは限らず自宅から給水車まで長距離を移動して水を汲んでくる想定をしなければいけません。

もしもにゃん

給水車をアテにしていても、家の近くまできてくれないかもにゃん…

避難所の備蓄

避難所により、どの程度水を備蓄しているかは自治体によります。
例えば、千葉県の千葉市では1つの避難所の共通備蓄品として500mlのペットボトルを500本~2000本ほど用意しているそうです。※1

救援物資

救援物資の中に水が入っていることがありますが、大規模災害時には道路などのインフラも寸断され救援物資も届かない状況が予想されます。
救援物資に頼らない、自らの備えで安心できる環境づくりが望ましいです。

防災士うめい

今回は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました!
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※1 参考:千葉市避難所共通備蓄品一覧

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